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突発SS。
QEDで書いていたのですが、急遽コナンに変更。
「せっかく雨あがったのになー」
学校の屋上で、和葉が頬杖のままため息をついた。
七夕の日に全国規模でのライトダウン。
大阪でも天の川が見られるかと期待したのだが、雨はあがっても梅雨の厚い雲は晴れなかった。
「こればっかはしゃーなわな」
平次はもたれていたドアから体を離し、和葉に近づいた。
「好きな人に1年に1度しか会えやんのって、どんな気持ちなんかなあ」
和葉が空を見上げながら呟く。
質問の意図をはかりかねて、平次は無言で和葉を見た。
「織姫と彦星は大きな川に阻まれてんのやっけ? それってお互いの顔は見えてんのかな。でも、そばにおられやんのやったら、いっそ顔も見えやん方がいいのかも」
和葉は独り言のように続ける。
「どうした?」
平次は堪りかねて口をはさんだ。
自分の知らない間に遠距離恋愛でもしているのか?
「んー…、蘭ちゃんもこの空見てんのかなあって思ってさ」
「ああ…」
平次は東の親友を思い浮かべた。
親友は常に彼女のそばにいるが、彼女の方はそれを知らない。
和葉は占いやまじないが好きだ。
…もしかしたら、天の川が見れたら東のカップルが会える、と願掛けをしていたのかもしれない。
平次が和葉の肩を抱くと、ひやり、と冷たい感触がした。
「体冷えてきたやろ。帰るで」
和葉は大人しく頷いた。
「うん。つき合わせてごめんな。ありがとお」
「…工藤には、なるべく早く帰るように言うといたるから」
和葉は再び頷いて、平次のシャツをきゅっとつかんだ。
平次はただ一言、「心配すんな」とだけ、返した。
□あとがき□
親友の恋は、自分の恋と同じくらい大切。